2026年8月 中古車流通・輸出・オークション流動性レポート
データ確認ステータス:出典確認済み
Executive Summary
2026年8月の中古車市場は、「国内流通は前年並み、輸出抹消は前年の低い水準との比較で大きく伸び、オークションでは成約車両単価の上昇が一服した月」でした。中古車登録台数は263,114台(前年同月比99.7%)、輸出抹消登録台数は144,394台(同132.8%)です。
USSオートオークションは出品台数254,517台(同109.2%)、成約台数169,966台(同104.7%)で、成約率は66.8%(前年同月69.6%)でした。成約車両単価は1,248千円(同101.9%)で、前年同月比の伸びは2025年9月以降の月次で最も小さくなりました。ドル円月中平均は158.81円で、7月(162.45円)から円高方向に戻りました。
出品台数と成約台数の差(JAPOX計算値)は7月に続き前年同月を大きく上回っており、JAPOXでは8月を「選別の強まりが単価の伸びにも表れ始めた月」と捉えています。
主要KPI(2026年8月・中古車業界指標)
| 指標 | 2026年8月 |
|---|---|
| 中古車登録台数(登録ベース) | 263,114台 |
| 中古車登録 前年同月比 | 99.7% |
| 輸出抹消登録台数 | 144,394台 |
| 輸出抹消 前年同月比 | 132.8% |
| USS出品台数 | 254,517台 |
| USS成約台数 | 169,966台 |
| USS成約率 | 66.8% |
| USS成約車両単価 | 1,248千円 |
| ドル円 月中平均 | 158.81円 |
出典:JADA(中古車登録台数・抹消登録台数)、USS(オートオークション実績 速報)、日本銀行(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)。前年同月比は各資料の掲載値です。
月次インサイト
主論点:単価上昇の一服と、成約されない車両の増加継続
8月のUSS成約車両単価は1,248千円で、前年同月比101.9%でした。2026年4月の114.6%を最高に、5〜7月は106.9〜110.6%で推移していましたが、8月は7月の108.1%から大きく縮小しました。曜日をそろえた比較でも成約車両単価は前年比103.4%にとどまっています。
前月・前年同月との比較
| 指標 | 2025年8月 | 2026年7月 | 2026年8月 |
|---|---|---|---|
| 中古車登録台数(台) | 263,861 | 319,175 | 263,114 |
| 輸出抹消登録台数(台) | 108,768 | 161,959 | 144,394 |
| USS出品台数(台) | 233,141 | 352,947 | 254,517 |
| USS成約台数(台) | 162,263 | 225,196 | 169,966 |
| USS成約率 | 69.6% | 63.8% | 66.8% |
| USS成約車両単価(千円) | 1,224 | 1,345 | 1,248 |
| ドル円 月中平均(円) | 147.64 | 162.45 | 158.81 |
直近6か月の推移(2026年3月〜8月)
| 月 | 中古車登録 前年同月比 | 輸出抹消 前年同月比 | USS成約率 | USS成約車両単価(千円) | 成約車両単価 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月 | 101.2% | 106.7% | 67.9% | 1,220 | 109.3% |
| 2026年4月 | 100.1% | 106.4% | 64.2% | 1,221 | 114.6% |
| 2026年5月 | 94.9% | 98.6% | 65.8% | 1,310 | 110.6% |
| 2026年6月 | 104.0% | 103.5% | 65.5% | 1,315 | 106.9% |
| 2026年7月 | 99.4% | 101.5% | 63.8% | 1,345 | 108.1% |
| 2026年8月 | 99.7% | 132.8% | 66.8% | 1,248 | 101.9% |
出品台数から成約台数を差し引いた台数(JAPOX計算値)は84,551台で、前年同月の70,878台から約19%増えました。7月(前年同月比約23%増)に続き2か月連続で前年を大きく上回っています。この差には再出品される車両も含まれるため、在庫台数そのものではありません。
7月から8月にかけての成約車両単価の変化は-7.2%(JAPOX計算値)で、前年同時期(2025年7月→8月)の-1.6%より大きな低下でした。8月はお盆期間で開催回数が少なく、成約車両の構成も変わりやすい月ですが、前年の同じ時期と比べても低下幅は大きくなっています。
JAPOXの見方:6月に始まった「成約されない車両の増加」が7〜8月も続き、8月はそれが単価の伸びの鈍化としても表れ始めたと読むことができます。ただし、成約車両単価は成約した車両の構成(車種・年式・グレード)に左右されるため、個々の車両の相場が一律に下がったことを意味するものではありません。単月の結果で相場の転換と断定せず、9月以降の推移で確認する必要があります。
中古車登録・国内流通
2026年8月の中古車登録台数は263,114台で、前年同月比99.7%、前月(319,175台)比では17.6%減でした(前月比はJAPOX計算値)。前年も7月から8月にかけて17.9%減っており、お盆期間を含む8月の季節的な減少と同程度です。内訳は乗用車230,078台(同100.1%)、貨物車26,668台(同98.8%)で、1〜8月の累計は2,428,098台(前年同期比99.7%)でした。
登録車とは別の統計ですが、全国軽自動車協会連合会によると、8月の軽四輪車の中古車販売台数(中古車新規検査+名義変更)は206,106台(前年同月比104.2%)でした。軽自動車を含めてみても、国内の中古車流通量に大きな落ち込みは見られません。
同じくJADAの資料では、8月の新車登録台数(登録車)は203,664台(前年同月比109.1%)でした。新車の登録増は下取り車の発生につながりやすく、オークションの出品増と時期が重なっていますが、公表資料から両者の因果関係は確認できないため、要因の一つとして考えられるにとどめます。
中古車輸出・海外需要
輸出抹消登録台数は144,394台で、前年同月比132.8%でした。1〜8月の累計は1,176,041台(前年同期比108.8%)です。
8月の高い伸び率には、前年のベースが影響しています。2025年は7月(159,541台)から8月(108,768台)にかけて輸出抹消登録が31.8%減りましたが、2026年は7月(161,959台)から8月にかけての減少が10.8%にとどまりました(いずれもJAPOX計算値)。前年8月の落ち込みが大きかったことが、今月の前年同月比を押し上げています。
仕向地別の中古車輸出台数(JUMVEA集計)は、本レポート作成時点(2026年9月16日)で8月分の公表・報道を確認できませんでした。7月までの報道では、UAE向けが中東情勢に伴う物流混乱から回復途上にある一方、ロシア、タンザニア、モンゴル向けなどが伸びていたとされています。8月分が公表され次第、本レポートを更新します。
ドル円月中平均は158.81円で、前年同月(147.64円)より7.6%円安の水準でしたが、7月(162.45円)からは2.2%円高方向に動きました(いずれもJAPOX計算値)。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、車種、年式、仕向地の規制や物流条件によって影響は異なるため、為替の動きだけで輸出の増減を判断することはできません。
オークション流動性
USSの2026年8月の実績は、出品台数254,517台(前年同月比109.2%)、成約台数169,966台(同104.7%)、成約率66.8%(前年同月69.6%)、成約車両単価1,248千円(同101.9%)でした。成約率を成約台数÷出品台数で再計算すると66.78%となり、公表値と一致します。
2027年3月期の4〜8月累計は、出品台数1,557,844台(前年比107.6%)、成約台数1,014,164台(同108.3%)、成約率65.1%(前年64.7%)、成約車両単価1,289千円(同108.5%)でした。累計ではなお前年を上回っていますが、8月単月の伸びは累計を下回りました。
開催回数・曜日要因
USSの資料によると、8月の開催回数は56回(前年同月63回)です。名古屋会場と北陸会場の合同開催移行により両会場を合わせて1開催として集計しており、前年と同一条件で比較した場合の当月の開催回数は59回です。また、名古屋会場、大阪会場などの3会場で前年同月比1開催減少しました。
曜日をそろえた比較(前年同期間:2025年8月2日〜9月1日、北陸会場が前年より1開催減少した比較)では、出品台数は前年比116.3%、成約台数は110.5%、成約率は66.8%(前年70.3%)、成約車両単価は103.4%です。開催日程の影響を除くと、出品の伸びはむしろ大きく、成約率の前年差も3.5ポイントの低下に広がります。
平均車齢・残価傾向
平均車齢は月次指標ではなく、年次で更新される基準指標として扱います。本レポートの最終レビュー時点(2026年9月16日)で確認できる最新の公表値は、自動車検査登録情報協会(AIRIA)の令和7年3月末現在の数値です。
- 乗用車:平均車齢9.44年(前年比0.10年延伸)、平均使用年数13.35年(同0.03年延伸)
- 貨物車:平均車齢12.13年(前年比0.15年延伸)、平均使用年数16.29年(同0.21年延伸)
8月時点で、AIRIAの令和8年3月末現在の平均車齢・平均使用年数は公表を確認できていません。車が長く使われる構造の中では、同じ年式でも走行距離・整備状況・修復歴による価値の差が大きく、単価の伸びが鈍る局面ほど、年式だけで残価を見積もる方法の限界が表れやすくなります。
EV / HV 評価要素
8月の公表統計では、中古EV・HVの価格や流通量を月次で把握できる一次データは確認できませんでした。評価の枠組みについては、次の政策・調査動向が引き続き参考になります。
経済産業省は2026年3月の資料「蓄電池産業戦略の推進に向けて」で、日本版バッテリーパスポートの情報項目として電池IDやSoH等を挙げ、中古電気自動車の残価向上のための保証事業にも言及しています。また、Geotabの2026年1月の調査では、EV電池の平均劣化率は年2.3%で、急速充電の利用が多い車両では最大で年3.0%程度とされています。
EV/HVの評価では、年式・走行距離に加えて、次の項目を評価項目として検討する必要があります。
- SOH(State of Health/電池健全度)
- 保証の残存期間・条件
- 診断証明と診断日
- 電池識別情報
- 充電履歴(急速充電の比率等)の取得可否
車両価値データAPI需要
API需要は単純な検索ボリュームではなく、法人業務への組み込み需要として捉えます。
8月のように平均単価の伸びが鈍り、成約されない車両が増える局面では、「どの車両なら売れるのか」を車両単位で見極める必要が高まります。平均値の変化が車両構成によるものか相場そのものの変化かを判断するには、車両1台ごとの属性と市場データを比較できる仕組みが必要です。価値判断の基本構造は、「VIN/車台番号 → 車両属性の特定 → グレード・装備の特定 → 市況・残価の評価 → 輸出適性の評価 → 法人の意思決定」です。
| APIカテゴリ | 最低限必要な項目 | 法人ユースケース |
|---|---|---|
| 車両同定 | 車台番号/VIN、型式、年式、初度登録、原動機型式 | 入力作業の削減、誤査定防止 |
| グレード解決 | グレード、主要装備、駆動方式、燃料区分 | 価格差判定、比較表生成 |
| 使用状況 | 走行距離、登録履歴、抹消種別、使用地履歴 | 残価補正、輸出可否判定 |
| 市況評価 | 参考相場、オークションレンジ、成約率帯 | 買取価格、在庫評価、金融稟議 |
| 輸出評価 | 仕向地適性、右左ハンドル、需要強弱、書類要件 | 輸出選別、仕入れ判断 |
| EV/HV評価 | SOH、保証残、診断日、電池識別 | EV残価、保証商品化 |
| 監査性 | 取得日時、出典、更新区分、信頼度スコア | 内部統制、監査ログ、説明可能性 |
法人事業者への示唆
8月の市況から、法人事業者の実務には次のような示唆が考えられます。
- 査定・買取:成約車両単価の伸びが鈍り、成約率も前年を下回っているため、上昇局面を前提にした買取価格の設定は見直しの時期にあります。グレード・走行距離・状態まで踏まえ、出品しても成約しないリスクを車両単位で見込むことが重要です。
- 在庫評価(中古車販売店):成約されない車両の増加が2か月続いており、在庫の評価額と値付けを車種別に点検することが有効です。特に、年初以降の単価上昇局面で仕入れた在庫は、評価替えの影響が大きくなりやすい点に注意が必要です。
- 輸出適性判定(輸出事業者):輸出抹消は前年比で大きく伸びましたが、その多くは前年のベースによるものです。仕向地の構成は7月まで変化が続いており、8月分の仕向地別集計の公表を待ちつつ、車両ごとに出口候補を比較できる情報整備が求められます。
- 金融審査・残価管理(金融機関・リース会社):成約車両単価の前年同月比が101.9%まで縮小したことは、上半期の単価上昇を残価前提にそのまま置くリスクを示しています。担保評価や残価設定では、平均単価ではなく車両単位の評価と、成約されない車両の台数など需給指標の併用が重要です。
- EV電池評価(リース・保険・販売):電池情報の標準化に向けた政策動向を踏まえ、リース満了車や保有車両のSOH等を記録しておくことが、将来の残価評価や保証の前提になり得ます。
同一車種・同一年式でも、グレード、走行距離、修復歴、装備、車両状態、輸出適性、EV/HVの電池状態によって価値は異なります。そのため法人業務では、「車台番号/VIN+グレード+走行距離+市場データ+輸出適性+残価情報」を標準化して扱える仕組みが重要になります。JAPOXの瞬カー®は、車台番号またはVINを起点に車両情報・グレード・参考査定価格(参考値)などを取得・推定し、査定・買取・下取り・残価評価・輸出データ整備を支援する法人向けの車両価値データプラットフォームです。システム連携の概要は瞬カー® APIで紹介しています。
方法論・定義
- 中古車登録台数:日本自動車販売協会連合会(JADA)による、新規登録台数、所有権の移転登録台数、使用者名の変更登録台数の3業務を合算したナンバーベースの指標です。軽自動車は含みません。小売販売台数そのものではなく、本レポートでは国内中古車の流通量を見るための指標として扱います。
- 輸出抹消登録台数:JADAが公表する抹消登録のうち、輸出に係る抹消登録の台数です。JUMVEA集計や財務省の輸出統計とは定義・計上時点・対象範囲が異なります。前年同月比は前年の水準(ベース)の影響を受けるため、累計や前月との比較も併せて確認します。
- USSオートオークション:USSが公表する月次の速報値です。成約率は成約台数÷出品台数で、出品台数には再出品の車両も含まれます。開催回数や曜日の並びなど運営・日程の要因と、市場の需給を区別して解釈します。
- 為替:日本銀行の「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均」を使用します。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、車種、年式、仕向地の規制、海上運賃、現地の需要によって影響は異なり、円安であれば輸出が増えるとは限りません。
- 平均車齢・平均使用年数:AIRIAが毎年3月末を基準に公表する年次指標で、軽自動車を除きます。月次では変動させず、新しい公表があった時点で更新します。
- 中古車輸出台数(仕向地別):日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の集計を業界紙が報じた値で、本レポートでは二次資料として扱います。集計値は後日改訂される場合があります。
- 計算値の扱い:前月比、出品台数と成約台数の差などJAPOXが計算した値は、本文中で計算値であることを明記しています。
- 対象期間と公開日:対象年月(2026年8月)と、初版公開日・最終更新日・最終レビュー日は別に管理します。本レポートは2026年9月16日に一次資料との照合を行いました。仕向地別の輸出集計など、作成時点で未公表の資料は公表後に追記します。
3つの主要ポイント
- 単価上昇が一服:USS成約車両単価は1,248千円で前年同月比101.9%と、2025年9月以降で最も小さい伸び。成約率は66.8%(前年同月69.6%)でした。
- 成約されない車両の増加が継続:USSの出品と成約の差(JAPOX計算値)は前年同月比約19%増で、7月に続き2か月連続で前年を大きく上回りました。
- 国内流通は前年並み、輸出抹消の伸びはベース要因:中古車登録は99.7%。輸出抹消は132.8%ですが、前年8月の落ち込みが大きかったことが伸び率を押し上げています。
よくある質問
このレポートの数値は確定値ですか?
中古車登録台数は販売台数ですか?
8月にUSSの成約車両単価の伸びが鈍ったのは、中古車相場が下がり始めたということですか?
輸出抹消登録が前年同月比132.8%と大きく伸びたのはなぜですか?
瞬カー®とどう関係しますか?
出典・参考
- 日本自動車販売協会連合会(JADA)中古車統計データ(中古車登録台数・抹消登録台数 月報の掲載ページ)
- JADA 中古車登録台数・抹消登録台数(2026年1月〜8月版PDF)
- USS オートオークション実績(速報)月次データ(2026年8月度)
- USS IRライブラリ 月次データ一覧
- 日本銀行 主要時系列統計データ表 為替相場(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)
- JADA 新車車種別登録台数(2026年版PDF、2026年8月度を参照)
- 全国軽自動車協会連合会 2026年8月 軽四輪車 中古車販売台数
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均車齢(令和7年3月末現在)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均使用年数(令和7年3月末現在)
- 経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日・資料3)
- Geotab EVバッテリー劣化調査(2026年1月13日公表・英語)
免責事項
本レポートの数値・指標は、記載の一次情報、公的統計、業界団体資料等に基づく参考情報であり、最終的な価格、相場、市場動向を保証するものではありません。中古車登録台数は登録ベースの指標であり、小売販売台数ではありません。参考査定価格、推定走行距離、残価等を掲載する場合、それらは参考値です。為替・輸出需要の影響は車種、年式、仕向地、物流条件等によって異なります。
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国内流通、輸出需要、オークション流動性、平均車齢の変化は、同じ年式・車種でも車両ごとの価値差を広げます。法人取引では、車台番号/VIN、グレード、走行距離、参考相場、輸出適性、残価などをデータで確認することが重要になります。
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