2026年7月 中古車流通・輸出・オークション流動性レポート
データ確認ステータス:出典確認済み
Executive Summary
2026年7月の中古車市場は、「国内流通と輸出は前年並み、オークションでは出品が先行し成約率が低下した月」でした。中古車登録台数は319,175台(前年同月比99.4%)、輸出抹消登録台数は161,959台(同101.5%)と、いずれも前年並みの水準です。
一方、USSオートオークションは出品台数352,947台(同115.0%)に対し成約台数225,196台(同110.8%)と出品の伸びが成約を上回り、成約率は63.8%(前年同月66.2%)となりました。成約車両単価は1,345千円(同108.1%)です。ドル円月中平均は162.45円で、前年同月(146.85円)より円安の水準でした。
台数全体に大きな変化がない一方で、オークションの出品と成約の差が広がったことから、JAPOXでは7月を「車両ごとの選別が強まった月」と捉えています。
主要KPI(2026年7月・中古車業界指標)
| 指標 | 2026年7月 |
|---|---|
| 中古車登録台数(登録ベース) | 319,175台 |
| 中古車登録 前年同月比 | 99.4% |
| 輸出抹消登録台数 | 161,959台 |
| 輸出抹消 前年同月比 | 101.5% |
| USS出品台数 | 352,947台 |
| USS成約台数 | 225,196台 |
| USS成約率 | 63.8% |
| USS成約車両単価 | 1,345千円 |
| ドル円 月中平均 | 162.45円 |
出典:JADA(中古車登録台数・抹消登録台数)、USS(オートオークション実績 速報)、日本銀行(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)。前年同月比は各資料の掲載値です。
月次インサイト
主論点:出品先行と選別の強まり
7月は、登録・輸出という「流通量」の指標がほぼ前年並みだったのに対し、オークションでは出品台数が前年同月比115.0%と大きく伸び、成約率は前年同月から2.4ポイント低い63.8%となりました。
前月・前年同月との比較
| 指標 | 2025年7月 | 2026年6月 | 2026年7月 |
|---|---|---|---|
| 中古車登録台数(台) | 321,227 | 318,965 | 319,175 |
| 輸出抹消登録台数(台) | 159,541 | 148,096 | 161,959 |
| USS出品台数(台) | 306,955 | 319,720 | 352,947 |
| USS成約台数(台) | 203,188 | 209,525 | 225,196 |
| USS成約率 | 66.2% | 65.5% | 63.8% |
| USS成約車両単価(千円) | 1,244 | 1,315 | 1,345 |
| ドル円 月中平均(円) | 146.85 | 160.69 | 162.45 |
直近4か月の推移(2026年4月〜7月)
| 2026年 | 中古車登録 前年同月比 | 輸出抹消 前年同月比 | USS成約率 | USS成約車両単価(千円) |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 100.1% | 106.4% | 64.2% | 1,221 |
| 5月 | 94.9% | 98.6% | 65.8% | 1,310 |
| 6月 | 104.0% | 103.5% | 65.5% | 1,315 |
| 7月 | 99.4% | 101.5% | 63.8% | 1,345 |
USSの成約率63.8%は、2026年4月以降の月次で最も低い水準です。一方、成約車両単価1,345千円は同期間で最も高く、4月から7月にかけて毎月上昇しました。出品台数から成約台数を差し引いた台数(JAPOX計算値)は127,751台で、前年同月の103,767台から約23%増えています。この差には再出品される車両も含まれるため、在庫台数そのものではありません。
JAPOXの見方:成約単価が上がる中で成約率が下がったことは、「高く売れる車両には買いが入る一方、条件の合わない車両は成約に至りにくい」という選別の強まりと整合的です。ただし、単価は成約した車両の構成(車種・年式・グレード)にも左右されるため、個々の車両の相場が一律に上がったことを意味するものではありません。
中古車登録・国内流通
2026年7月の中古車登録台数は319,175台で、前年同月比99.4%、前月(318,965台)比では0.07%増とほぼ横ばいでした。内訳は乗用車276,211台(前年同月比99.0%)、貨物車34,303台(同101.6%)です。1〜7月の累計は2,164,984台(前年同期比99.7%)で、年初から前年並みの流通量が続いています。
月別には、5月に前年同月比94.9%へ落ち込んだ後、6月は104.0%と持ち直し、7月は99.4%でした。単月の上下はあるものの、3か月程度でならすと前年並みの範囲にあり、国内の中古車流通量に構造的な増減は確認されていません。
なお、同じJADA資料では2026年7月の新車登録台数(登録車)は276,679台(前年同月比109.7%)でした。新車の登録が増えると下取り車がオークションに流入しやすくなるため、後述するUSSの出品増と時期が重なっている点は注目されます。ただし、公表資料から両者の因果関係は確認できないため、本レポートでは「要因の一つとして考えられる」との位置付けにとどめます。
中古車輸出・海外需要
輸出抹消登録台数は161,959台で、前年同月比101.5%、前月比では9.4%増でした。1〜7月の累計は1,031,647台(前年同期比106.1%)で、累計ベースでは前年を上回るペースが続いています。
一方、業界紙の報道によると、日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)集計の7月の中古車輸出台数は140,011台(前年同月比6.9%減)でした。仕向地別では、ロシア向けが23,840台(同39.9%増)で首位、タンザニア、モンゴル、ニュージーランド向けが増加した一方、UAE向けは3,280台(同83.0%減)と大きく減少したと報じられています。
輸出抹消登録は「国内の登録を抹消した時点」、輸出統計は「船積み・通関の時点」で計上されるなど、両統計は定義や計上時点、対象範囲が異なります。したがって、7月に両者の前年同月比の方向が分かれたことを、そのまま需要の強弱として解釈することはできません。
JAPOXの見方:7月は輸出全体の量よりも、仕向地の構成が変化していることが特徴です。仕向地ごとに輸入規制、右ハンドル・左ハンドルの需要、年式や排気量の条件は異なるため、同じ車種でも「どの国に出せるか」によって国内での相対的な価値が変わり得ます。輸出需要の存在は、車種・年式・仕向地によって国内残価を支える要因の一つになり得ますが、その効果は車両ごとに異なります。
オークション流動性
USSの2026年7月の実績は、出品台数352,947台(前年同月比115.0%)、成約台数225,196台(同110.8%)、成約率63.8%(前年同月66.2%)、成約車両単価1,345千円(同108.1%)でした。成約率を成約台数÷出品台数で再計算すると63.80%となり、公表値と一致します。
開催回数・曜日要因
USSの資料では、名古屋会場と北陸会場の合同開催への移行により、開催回数を両会場合わせて1開催として集計しています(当月78回、前年同一条件で比較した場合は83回、前年同月81回)。また、7月は前年同月と比べて3会場で1開催増加、2会場で1開催減少しました。
曜日をそろえた比較(前年同期間:2025年7月2日〜8月1日)では、出品台数は前年比112.2%、成約台数は108.6%、成約率は63.8%(前年65.9%)、成約車両単価は106.1%です。開催日程の影響を除いても出品の伸びが成約を上回っており、出品先行の傾向は運営要因だけでは説明できないことが分かります。
JAPOXの見方:成約率の低下は、買い手の需要が弱まった場合だけでなく、出品者側の希望価格と落札価格の差が広がった場合にも起こります。7月は単価が上昇していることから、需要の急な減退というよりも、出品の増加に対して買い手が車両を選んでいる局面と読むのが妥当と考えます。
平均車齢・残価傾向
平均車齢は月次指標ではなく、年次で更新される基準指標として扱います。本レポート作成時点(2026年9月15日)で確認できる最新の公表値は、自動車検査登録情報協会(AIRIA)の令和7年3月末現在の数値です。
- 乗用車:平均車齢9.44年(前年比0.10年延伸)、平均使用年数13.35年(同0.03年延伸)
- 貨物車:平均車齢12.13年(前年比0.15年延伸)、平均使用年数16.29年(同0.21年延伸)
AIRIAは、新車販売台数の減少や長期使用で平均車齢が上がり、高齢車のスクラップや海外輸出が増えると若返る傾向があると説明しています。7月の月次データは、この「車が長く使われる」土台の上で読む必要があります。
車齢の長期化は、残価レンジの幅、修理・補修需要、輸出適性、車両状態評価の重要性を高める基礎条件です。年式が古い車両ほど、走行距離や修復歴、整備状況によって価値の差が大きくなりやすいため、年式だけで残価を見積もる方法の限界が表れやすくなります。
EV / HV 評価要素
7月の公表統計では、中古EV・HVの価格や流通量を月次で把握できる一次データは確認できませんでした。そのため本レポートでは、評価の枠組みに関わる政策・調査動向を整理します。
経済産業省の資料「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日)では、日本版バッテリーパスポートの構築支援と、蓄電池のリユース・リサイクルに向けた実証の方針が示され、パスポートの情報項目として電池IDやSoH等のパック状況情報が挙げられています。実証の例として「中古電気自動車の残価向上のための保証事業」も記載されています。
また、テレマティクス企業Geotabが2026年1月に公表した調査では、22,700台超・21のメーカー/モデルのEVを分析し、電池の平均劣化率は年2.3%でした。100kW超の急速充電の利用が多い車両では最大で年3.0%程度、低出力充電が中心の車両では年1.5%程度とされています。
これらを踏まえると、EV/HVの評価では年式・走行距離に加えて、次の項目を評価項目として検討する必要があります。
- SOH(State of Health/電池健全度)
- 保証の残存期間・条件
- 診断証明と診断日
- 電池識別情報
- 充電履歴(急速充電の比率等)の取得可否
車両価値データAPI需要
API需要は単純な検索ボリュームではなく、法人業務への組み込み需要として捉えます。
7月のように台数全体が前年並みでも、オークションでの選別が強まる局面では、車両1台ごとの属性と状態をどれだけ正確・迅速に把握できるかが取引の成否を分けます。価値判断の基本構造は、「VIN/車台番号 → 車両属性の特定 → グレード・装備の特定 → 市況・残価の評価 → 輸出適性の評価 → 法人の意思決定」です。
| APIカテゴリ | 最低限必要な項目 | 法人ユースケース |
|---|---|---|
| 車両同定 | 車台番号/VIN、型式、年式、初度登録、原動機型式 | 入力作業の削減、誤査定防止 |
| グレード解決 | グレード、主要装備、駆動方式、燃料区分 | 価格差判定、比較表生成 |
| 使用状況 | 走行距離、登録履歴、抹消種別、使用地履歴 | 残価補正、輸出可否判定 |
| 市況評価 | 参考相場、オークションレンジ、成約率帯 | 買取価格、在庫評価、金融稟議 |
| 輸出評価 | 仕向地適性、右左ハンドル、需要強弱、書類要件 | 輸出選別、仕入れ判断 |
| EV/HV評価 | SOH、保証残、診断日、電池識別 | EV残価、保証商品化 |
| 監査性 | 取得日時、出典、更新区分、信頼度スコア | 内部統制、監査ログ、説明可能性 |
法人事業者への示唆
7月の市況から、法人事業者の実務には次のような示唆が考えられます。
- 査定・買取:オークションの成約率が下がる局面では、出品しても成約しないリスクを見込んだ買取価格の設定が求められます。車種・年式だけでなくグレードや状態まで踏まえた査定の精度が、利益率に直結しやすくなります。
- 在庫評価(中古車販売店):出品と成約の差が広がっているため、在庫の回転期間と値下げ判断を車両単位で見直す重要性が高まっています。
- 輸出適性判定(輸出事業者):仕向地の構成が変化しているため、車両ごとに「どの国に出せるか」を早い段階で判定できるかが、仕入れの判断に影響します。
- 金融審査・残価管理(金融機関・リース会社):成約単価が上昇していても、成約した車両の構成による影響を含むため、担保評価や残価設定では平均値ではなく車両単位の評価が必要です。
- EV電池評価(リース・保険・販売):SOHや保証の情報が評価に組み込まれつつあり、電池情報を取得・記録できる体制が今後の差別化要因になり得ます。
同一車種・同一年式でも、グレード、走行距離、修復歴、装備、車両状態、輸出適性、EV/HVの電池状態によって価値は異なります。選別が強まる局面ほど、この差が取引結果に表れやすくなります。
そのため法人業務では、「車台番号/VIN+グレード+走行距離+市場データ+輸出適性+残価情報」を標準化して扱える仕組みが重要になります。JAPOXの瞬カー®は、車台番号またはVINを起点に車両情報・グレード・参考査定価格(参考値)などを取得・推定し、査定・買取・下取り・残価評価・輸出データ整備を支援する法人向けの車両価値データプラットフォームです。システム連携の概要は瞬カー® APIで紹介しています。
方法論・定義
- 中古車登録台数:日本自動車販売協会連合会(JADA)による、新規登録台数、所有権の移転登録台数、使用者名の変更登録台数の3業務を合算したナンバーベースの指標です。軽自動車は含みません。小売販売台数そのものではなく、本レポートでは国内中古車の流通量を見るための指標として扱います。
- 輸出抹消登録台数:JADAが公表する抹消登録のうち、輸出に係る抹消登録の台数です。業界団体や財務省の輸出統計とは定義・計上時点・対象範囲が異なります。前年同月比は前年の水準(ベース)の影響を受けるため、累計や前月との比較も併せて確認します。
- USSオートオークション:USSが公表する月次の速報値です。成約率は成約台数÷出品台数で、出品台数には再出品の車両も含まれます。開催回数や曜日の並びなど運営・日程の要因と、市場の需給を区別して解釈します。
- 為替:日本銀行の「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均」を使用します。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、車種、年式、仕向地の規制、海上運賃、現地の需要によって影響は異なり、円安であれば輸出が増えるとは限りません。
- 平均車齢・平均使用年数:AIRIAが毎年3月末を基準に公表する年次指標で、軽自動車を除きます。月次では変動させず、新しい公表があった時点で更新します。
- 計算値の扱い:前月比、出品台数と成約台数の差などJAPOXが計算した値は、本文中で計算値であることを明記しています。
- 対象期間と公開日:対象年月(2026年7月)と、初版公開日・最終更新日・最終レビュー日は別に管理します。主要統計が翌月に公表されるため、公開日は対象月の翌月以降になります。
3つの主要ポイント
- 国内流通・輸出は前年並み:中古車登録は前年同月比99.4%、輸出抹消は101.5%で、流通量に大きな変化は確認されていません。
- オークションは出品が先行:USS出品は前年同月比115.0%、成約は110.8%で、成約率は63.8%(前年同月66.2%)に低下。成約車両単価は1,345千円(108.1%)でした。
- 車両単位の評価が重要に:選別が強まる局面では、VIN・グレード・状態・輸出適性・EV電池状態による価値差が取引結果に表れやすくなります。
よくある質問
このレポートの数値は確定値ですか?
中古車登録台数は販売台数ですか?
7月は輸出抹消登録が増え、輸出台数は減少と報じられています。どちらが正しいですか?
USSの成約率が下がったのは、中古車市場が悪化したということですか?
瞬カー®とどう関係しますか?
出典・参考
- 日本自動車販売協会連合会(JADA)中古車統計データ(中古車登録台数・抹消登録台数 月報の掲載ページ)
- JADA 中古車登録台数・抹消登録台数(2026年1月〜8月版PDF、2026年7月度は2ページ目)
- JADA 新車車種別登録台数(2026年版PDF、2026年7月度を参照)
- USS オートオークション実績(速報)2027年3月期 月次データ(2026年7月度)
- USS IRライブラリ 月次データ一覧
- 日本銀行 主要時系列統計データ表 為替相場(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均車齢(令和7年3月末現在)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均使用年数(令和7年3月末現在)
- 経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日・資料3)
- Geotab EVバッテリー劣化調査(2026年1月13日公表・英語)
- グーネット自動車流通 中古車輸出台数(JUMVEA集計・2026年7月分の報道)
免責事項
本レポートの数値・指標は、記載の一次情報、公的統計、業界団体資料等に基づく参考情報であり、最終的な価格、相場、市場動向を保証するものではありません。中古車登録台数は登録ベースの指標であり、小売販売台数ではありません。参考査定価格、推定走行距離、残価等を掲載する場合、それらは参考値です。為替・輸出需要の影響は車種、年式、仕向地、物流条件等によって異なります。
市場変化を車両価値データで確認する
国内流通、輸出需要、オークション流動性、平均車齢の変化は、同じ年式・車種でも車両ごとの価値差を広げます。法人取引では、車台番号/VIN、グレード、走行距離、参考相場、輸出適性、残価などをデータで確認することが重要になります。
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