2026年6月 中古車流通・輸出・オークション流動性レポート
データ確認ステータス:出典確認済み
Executive Summary
2026年6月の中古車市場は、「国内登録・輸出・オークションの台数がそろって前年を上回り、上半期を前年並み以上で終えた月」でした。中古車登録台数は318,965台(前年同月比104.0%)、輸出抹消登録台数は148,096台(同103.5%)です。
USSオートオークションは出品台数319,720台(同110.4%)、成約台数209,525台(同114.2%)、成約率65.5%(前年同月63.4%)、成約車両単価1,315千円(同106.9%)でした。ドル円月中平均は160.69円で、2025年6月以降の月次で初めて160円を上回りました。
一方で、出品台数と成約台数の差(JAPOX計算値)は2026年に入って初めて前年同月を上回っており、7月に表面化する「出品先行」の兆しが見え始めた月でもあります。
主要KPI(2026年6月・中古車業界指標)
| 指標 | 2026年6月 |
|---|---|
| 中古車登録台数(登録ベース) | 318,965台 |
| 中古車登録 前年同月比 | 104.0% |
| 輸出抹消登録台数 | 148,096台 |
| 輸出抹消 前年同月比 | 103.5% |
| USS出品台数 | 319,720台 |
| USS成約台数 | 209,525台 |
| USS成約率 | 65.5% |
| USS成約車両単価 | 1,315千円 |
| ドル円 月中平均 | 160.69円 |
出典:JADA(中古車登録台数・抹消登録台数)、USS(オートオークション実績 速報)、日本銀行(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)。前年同月比は各資料の掲載値です。
月次インサイト
主論点:上半期の着地と成約されない車両の増加
USSの出品台数から成約台数を差し引いた台数(JAPOX計算値)は110,195台で、前年同月(106,104台)を3.9%上回りました。この差の前年同月比は、1月-8.4%、2月-7.6%、3月-2.1%、4月-2.0%、5月-6.6%と前年を下回って推移してきましたが、6月に増加へ転じました。
前月・前年同月との比較
| 指標 | 2025年6月 | 2026年5月 | 2026年6月 |
|---|---|---|---|
| 中古車登録台数(台) | 306,571 | 273,495 | 318,965 |
| 輸出抹消登録台数(台) | 143,023 | 129,777 | 148,096 |
| USS出品台数(台) | 289,533 | 281,669 | 319,720 |
| USS成約台数(台) | 183,429 | 185,404 | 209,525 |
| USS成約率 | 63.4% | 65.8% | 65.5% |
| USS成約車両単価(千円) | 1,230 | 1,310 | 1,315 |
| ドル円 月中平均(円) | 144.47 | 158.34 | 160.69 |
直近6か月の推移(2026年1月〜2026年6月)
| 月 | 中古車登録 前年同月比 | 輸出抹消 前年同月比 | USS成約率 | USS成約車両単価(千円) | ドル円(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年1月 | 98.9% | 97.2% | 69.6% | 1,346 | 156.79 |
| 2026年2月 | 98.7% | 144.2% | 69.6% | 1,380 | 155.23 |
| 2026年3月 | 101.2% | 106.7% | 67.9% | 1,220 | 158.64 |
| 2026年4月 | 100.1% | 106.4% | 64.2% | 1,221 | 159.28 |
| 2026年5月 | 94.9% | 98.6% | 65.8% | 1,310 | 158.34 |
| 2026年6月 | 104.0% | 103.5% | 65.5% | 1,315 | 160.69 |
この差には再出品される車両も含まれるため、在庫台数そのものではありません。ただし、翌7月には差が前年同月比23.1%増へ拡大しており、6月はその転換点にあたります。
JAPOXの見方:成約率は前年を上回っていても、出品の増加ペースが成約の増加ペースに近づくと、成約に至らない車両の絶対数は増え始めます。成約率という「比率」だけでなく、成約されない車両の「台数」を併せて見ることで、需給の変化をより早く捉えられる可能性があります。
中古車登録・国内流通
2026年6月の中古車登録台数は318,965台で、前年同月比104.0%と2026年1〜6月の月次で最も高い伸びでした。前月比では16.6%増です(前月比はJAPOX計算値)。内訳は乗用車275,103台(同103.8%)、貨物車35,343台(同105.0%)です。
上半期(1〜6月)の累計は1,845,809台(前年同期比99.8%)でした。5月の前年割れ(94.9%)の後に6月は持ち直しており、上半期全体では国内流通量は前年並みで着地しています。
中古車輸出・海外需要
輸出抹消登録台数は148,096台で、前年同月比103.5%、前月比では14.1%増でした(前月比はJAPOX計算値)。上半期の累計は869,688台(前年同期比107.0%)です。
業界紙の報道によると、JUMVEA集計の6月の中古車輸出台数は157,992台(前年同月比9.7%増)でした。仕向地別ではロシア向けが26,272台(同49.1%増)で首位、タンザニア向けが14,358台(同92.9%増)、モンゴル向けが8,705台(同136.2%増)、ケニア向けが7,582台(同34.8%増)と報じられています。UAE向けは2,277台にとどまりました。
ドル円月中平均は160.69円で、前年同月(144.47円)より11.2%円安の水準でした(JAPOX計算値)。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、6月の輸出の伸びはロシア、アフリカ、モンゴル向けなど特定の仕向地の増加によるもので、仕向地ごとの規制・物流条件の影響を大きく受けています。
JAPOXの見方:3月以降の仕向地の組み替えを経て、6月は輸出台数が前年を上回る水準まで回復しました。ただし、ロシア向けなど特定の仕向地への依存が高まっている点は、規制変更などのリスクとして注意が必要です。
オークション流動性
USSの2026年6月の実績は、出品台数319,720台(前年同月比110.4%)、成約台数209,525台(同114.2%)、成約率65.5%(前年同月63.4%)、成約車両単価1,315千円(同106.9%)でした。成約率を再計算すると65.53%となり、公表値と一致します。
2027年3月期の4〜6月累計は、出品台数950,380台(前年比104.7%)、成約台数619,002台(同108.4%)、成約率65.1%(前年62.9%)、成約車両単価1,279千円(同110.6%)でした。
開催回数・曜日要因
USSの資料によると、6月の開催回数は70回(前年同月72回)です。名古屋会場と北陸会場の合同開催移行により両会場を合わせて1開催として集計しており、前年と同一条件で比較した場合の当月の開催回数は74回です。また、横浜会場、R名古屋会場の2会場で前年同月比1開催増加しました。
曜日をそろえた比較(前年同期間:2025年6月2日〜7月1日)では、出品台数は前年比107.9%、成約台数は111.5%、成約率は65.5%(前年63.5%)、成約車両単価は107.9%です。日程をそろえても出品・成約ともに前年を上回っています。
平均車齢・残価傾向
平均車齢は月次指標ではなく、年次で更新される基準指標として扱います。本レポートの最終レビュー時点(2026年9月15日)で確認できる最新の公表値は、自動車検査登録情報協会(AIRIA)の令和7年3月末現在の数値です。
- 乗用車:平均車齢9.44年(前年比0.10年延伸)、平均使用年数13.35年(同0.03年延伸)
- 貨物車:平均車齢12.13年(前年比0.15年延伸)、平均使用年数16.29年(同0.21年延伸)
上半期を通じて、国内流通量は前年並み、輸出は仕向地を組み替えながら前年を上回るペースで推移しました。車が長く使われる構造の中で、輸出の出口の変化は国内に残る車両の構成にも影響し得るため、残価の前提は定期的に見直す必要があります。
EV / HV 評価要素
6月の公表統計では、中古EV・HVの価格や流通量を月次で把握できる一次データは確認できませんでした。
上半期の評価の枠組みとしては、経済産業省の資料(2026年3月)が日本版バッテリーパスポートの情報項目として電池IDやSoH等を挙げていること、Geotabの調査(2026年1月)がEV電池の平均劣化率を年2.3%としていることが参考になります。
EV/HVの評価では、年式・走行距離に加えて、次の項目を評価項目として検討する必要があります。
- SOH(State of Health/電池健全度)
- 保証の残存期間・条件
- 診断証明と診断日
- 電池識別情報
- 充電履歴(急速充電の比率等)の取得可否
車両価値データAPI需要
API需要は単純な検索ボリュームではなく、法人業務への組み込み需要として捉えます。
6月のように比率(成約率)は改善していても台数(成約されない車両)が増え始める局面では、市場全体の指標だけでなく、自社が扱う車両1台ごとの売れ筋・売れ残りの傾向をデータで把握できるかが重要になります。価値判断の基本構造は、「VIN/車台番号 → 車両属性の特定 → グレード・装備の特定 → 市況・残価の評価 → 輸出適性の評価 → 法人の意思決定」です。
| APIカテゴリ | 最低限必要な項目 | 法人ユースケース |
|---|---|---|
| 車両同定 | 車台番号/VIN、型式、年式、初度登録、原動機型式 | 入力作業の削減、誤査定防止 |
| グレード解決 | グレード、主要装備、駆動方式、燃料区分 | 価格差判定、比較表生成 |
| 使用状況 | 走行距離、登録履歴、抹消種別、使用地履歴 | 残価補正、輸出可否判定 |
| 市況評価 | 参考相場、オークションレンジ、成約率帯 | 買取価格、在庫評価、金融稟議 |
| 輸出評価 | 仕向地適性、右左ハンドル、需要強弱、書類要件 | 輸出選別、仕入れ判断 |
| EV/HV評価 | SOH、保証残、診断日、電池識別 | EV残価、保証商品化 |
| 監査性 | 取得日時、出典、更新区分、信頼度スコア | 内部統制、監査ログ、説明可能性 |
法人事業者への示唆
6月の市況と上半期の推移から、法人事業者の実務には次のような示唆が考えられます。
- 査定・買取:出品と成約の差が前年を上回り始めたことから、下半期に向けて「出品しても成約しない」リスクを買取価格に織り込む準備が必要です。
- 在庫評価(中古車販売店):上半期の相場上昇を前提にした在庫の評価額は、成約されない車両の増加に備え、車種別に見直すことが有効です。
- 輸出適性判定(輸出事業者):ロシア、アフリカ、モンゴル向けの伸びが報じられており、仕向地ごとの条件に合う車両の選別と、特定仕向地への依存度の管理が求められます。
- 金融審査・残価管理(金融機関・リース会社):円安と単価上昇が続いた上半期の水準をそのまま残価前提に置かず、需給の変化を示す指標を併せて監視することが重要です。
- EV電池評価(リース・保険・販売):電池情報の標準化に向けた政策動向を踏まえ、保有車両の電池状態の記録を進めることが将来の残価評価の備えになります。
同一車種・同一年式でも、グレード、走行距離、修復歴、装備、車両状態、輸出適性、EV/HVの電池状態によって価値は異なります。そのため法人業務では、「車台番号/VIN+グレード+走行距離+市場データ+輸出適性+残価情報」を標準化して扱える仕組みが重要になります。JAPOXの瞬カー®は、車台番号またはVINを起点に車両情報・グレード・参考査定価格(参考値)などを取得・推定し、査定・買取・下取り・残価評価・輸出データ整備を支援する法人向けの車両価値データプラットフォームです。システム連携の概要は瞬カー® APIで紹介しています。
方法論・定義
- 中古車登録台数:日本自動車販売協会連合会(JADA)による、新規登録台数、所有権の移転登録台数、使用者名の変更登録台数の3業務を合算したナンバーベースの指標です。軽自動車は含みません。小売販売台数そのものではなく、本レポートでは国内中古車の流通量を見るための指標として扱います。
- 輸出抹消登録台数:JADAが公表する抹消登録のうち、輸出に係る抹消登録の台数です。JUMVEA集計や財務省の輸出統計とは定義・計上時点・対象範囲が異なります。前年同月比は前年の水準(ベース)の影響を受けるため、累計や前月との比較も併せて確認します。
- USSオートオークション:USSが公表する月次の速報値です。成約率は成約台数÷出品台数で、出品台数には再出品の車両も含まれます。開催回数や曜日の並びなど運営・日程の要因と、市場の需給を区別して解釈します。
- 為替:日本銀行の「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均」を使用します。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、車種、年式、仕向地の規制、海上運賃、現地の需要によって影響は異なり、円安であれば輸出が増えるとは限りません。
- 平均車齢・平均使用年数:AIRIAが毎年3月末を基準に公表する年次指標で、軽自動車を除きます。月次では変動させず、新しい公表があった時点で更新します。
- 中古車輸出台数(仕向地別):日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の集計を業界紙が報じた値で、本レポートでは二次資料として扱います。集計値は後日改訂される場合があります。
- 計算値の扱い:前月比、出品台数と成約台数の差などJAPOXが計算した値は、本文中で計算値であることを明記しています。
- 対象期間と公開日:対象年月(2026年6月)と、初版公開日・最終更新日・最終レビュー日は別に管理します。本レポートは2026年9月15日に一次資料との照合を行い、内容を全面的に改訂しました。
3つの主要ポイント
- 台数がそろって前年超え:中古車登録は前年同月比104.0%、輸出抹消は103.5%、USS出品は110.4%・成約は114.2%で、上半期の登録累計は99.8%でした。
- 成約されない車両が増え始めた:USSの出品と成約の差(JAPOX計算値)は前年同月比3.9%増と、2026年に入って初めて前年を上回りました。
- 円安と仕向地の偏り:ドル円は160.69円と前年同月比11.2%の円安。輸出はロシア・アフリカ・モンゴル向けの伸びが中心で、特定仕向地への依存に注意が必要です。
よくある質問
このレポートの数値は確定値ですか?
中古車登録台数は販売台数ですか?
成約率が前年より高いのに、成約されない車両が増えているのはなぜですか?
2026年上半期の中古車市場はどうでしたか?
瞬カー®とどう関係しますか?
出典・参考
- 日本自動車販売協会連合会(JADA)中古車統計データ(中古車登録台数・抹消登録台数 月報の掲載ページ)
- JADA 中古車登録台数・抹消登録台数(2026年1月〜8月版PDF)
- USS オートオークション実績(速報)月次データ(2026年6月度)
- USS IRライブラリ 過去の月次データ(2026年3月期)
- 日本銀行 主要時系列統計データ表 為替相場(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均車齢(令和7年3月末現在)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均使用年数(令和7年3月末現在)
- 経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日・資料3)
- Geotab EVバッテリー劣化調査(2026年1月13日公表・英語)
- グーネット自動車流通 中古車輸出台数(JUMVEA集計・2026年6月分の報道)
免責事項
本レポートの数値・指標は、記載の一次情報、公的統計、業界団体資料等に基づく参考情報であり、最終的な価格、相場、市場動向を保証するものではありません。中古車登録台数は登録ベースの指標であり、小売販売台数ではありません。参考査定価格、推定走行距離、残価等を掲載する場合、それらは参考値です。為替・輸出需要の影響は車種、年式、仕向地、物流条件等によって異なります。
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国内流通、輸出需要、オークション流動性、平均車齢の変化は、同じ年式・車種でも車両ごとの価値差を広げます。法人取引では、車台番号/VIN、グレード、走行距離、参考相場、輸出適性、残価などをデータで確認することが重要になります。
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