アメリカの中古車情報サービスとは?CARFAX・AutoCheck・NMVTISなど主要サービスとVINの役割

アメリカの中古車情報サービスは、17桁のVIN(車両識別番号)を入力して、タイトル(所有権)の履歴・事故や全損の記録・走行距離・リコールなどを確認する仕組みが中心です。代表的なのは、公的データベースのNMVTIS、民間の車両履歴レポートのCARFAXとAutoCheck、無料で盗難やリコールを調べられるNICBとNHTSAのサービス、相場を調べるKelley Blue Book・Edmunds・J.D. Powerです。
アメリカでは、中古車を買う前にVINで車の履歴を調べるのが一般的です。この記事では、2026年9月時点の公式情報をもとに、主なサービスの役割と違い、日本の中古車流通との違い、輸出や車両データ活用での考え方を整理します。
結論:目的別に使い分けられている
| 目的 | 主なサービス | 運営 | わかること |
|---|---|---|---|
| 公的な履歴確認 | NMVTIS | 米国司法省(BJA) | 現在のタイトルとブランド履歴、直近の走行距離、保険会社による全損・サルベージ判断など |
| 詳しい車両履歴レポート | CARFAX/AutoCheck | 民間(AutoCheckはExperian) | VINにひもづく事故・所有・登録などの履歴(有料レポート) |
| 盗難・全損の無料確認 | NICB VINCheck | 全米保険犯罪局(NICB) | 盗難未回収の届出、サルベージ等の記録(無料・回数制限あり) |
| リコール確認 | NHTSA Recalls | 米国運輸省道路交通安全局 | 未改修のリコールの有無(無料) |
| 相場・価格の目安 | Kelley Blue Book/Edmunds/J.D. Power | 民間 | 車種・年式・状態別の価格の目安 |
| 在庫を探す | Autotrader/Cars.com/CarGurus/CarMax | 民間 | 販売中の中古車の検索・比較 |
アメリカで車両履歴が重視される理由
米国では、州ごとにタイトル(所有権証明)が発行され、事故で全損になった車や水害車には「Salvage」「Flood」などのブランドが記録されます。ただし州をまたいで売買されると、こうした記録が見えにくくなることがあります。そのため、全米共通のキーである17桁のVINで、複数の州や事業者のデータを横断して確認する仕組みが発達しました。
主要サービスの特徴
NMVTIS(全米自動車タイトル情報システム)
NMVTISは、米国の連邦法に基づく公的なデータベースです。米国司法省の司法支援局(BJA)が運用を監督し、システムの運営は米国自動車管理者協会(AAMVA)が司法省に代わって行っています。詐欺や危険な車両から消費者を守ることを目的としています。現在のタイトルとブランドの履歴、直近に報告された走行距離、保険会社による全損・サルベージの判断、廃車業者やサルベージ業者への引き渡しの記録などを扱います。消費者は、承認されたデータ提供事業者を通じてレポートを購入します。修理や整備の履歴を網羅するものではない点に注意が必要です。
CARFAX
VINを入力すると車両履歴レポートを取得できる、米国で広く知られた民間サービスです。ディーラーの在庫ページにレポートが添付されていることも多くあります。運営会社の所属は2026年に変わり、S&P Globalから分離独立したMobility Global Inc.のブランドの一つになっています。
AutoCheck
信用情報大手Experianが提供する車両履歴レポートです。CARFAXと同じくVINで検索し、事故・所有・登録などの履歴を確認できます。業者向けの取引でも使われます。
NICB VINCheck(無料)
全米保険犯罪局(NICB)の無料サービスで、盗難届が出されて回収されていない車や、サルベージ等として報告された車かどうかを確認できます。検索回数は、1つのIPアドレスにつき24時間で5回までに制限されています。
NHTSAのリコール検索(無料)
17桁のVINを入力して、未改修のリコールがあるかを確認できます。原則として15年より古いリコールは対象外です(メーカーが独自に対応している場合を除く)。
価格の目安:Kelley Blue Book・Edmunds・J.D. Power
Kelley Blue Book(Cox Automotiveのブランド)やEdmundsは、車種・年式・走行距離・状態から売買価格の目安を示すサービスです。J.D. Powerは2015年にNADA Used Car Guideを取得しており、その価格ガイドは金融機関などでも参照されます。いずれも「目安」であり、実際の取引価格は車両の状態や地域の需要で変わります。
在庫検索:Autotrader・Cars.com・CarGurus・CarMax
販売中の中古車を探すマーケットプレイスです。Autotrader(Cox Automotive)やCars.comは販売店や個人の在庫を掲載し、CarGurusは相場と比べた「お得度」の表示で知られています。CarMaxは店舗とオンラインで中古車を売買する大手販売会社です。
日本の中古車流通との違い
- 識別番号:米国は17桁VINで統一されていますが、日本の国内専用モデルは車台番号で管理されることが多く、海外のデータベースとそのままでは照合しにくいことがあります。詳しくはVINとはと車台番号とはをご覧ください。
- 情報の分散:日本では、登録・オークション・整備・保険などの情報が事業者ごとに分かれていて、1台の車の履歴を一か所で確認しにくい状況があります。この課題は中古車市場の情報の非対称性レポートで整理しています。
- 走行距離の扱い:米国では報告された走行距離がタイトル情報とともに記録されます。日本での考え方は走行距離と査定価格の関係で解説しています。
NMVTISは「監督・運営・販売」が分かれている
NMVTISを一つの窓口だと思って探すと行き止まりになります。役割が三層に分かれているためです。
| 役割 | 担い手 | 内容 |
|---|---|---|
| 監督 | 米国司法省 司法支援局(BJA) | 連邦法と規則に基づきNMVTISの運用を監督する |
| 運営 | AAMVA(米国自動車管理者協会) | 司法省に代わってシステムを運営し、データ提供事業者を承認する |
| 販売 | 承認されたデータ提供事業者 | 消費者向けのレポートはこの事業者を通じて購入する |
制度そのものは1992年のAnti Car Theft Actで創設され、1996年の改正で所管が運輸省から司法省へ移りました。政府が直接レポートを販売しているわけではありません。消費者は、公式サイトに掲載されている承認事業者の一覧から選んで購入します。
ここで注意したいのが、NMVTISの公式サイトが、消費者はCarfax・DMVDesk・Experianの3社からはNMVTISレポートを受け取れないと明記している点です。この3社は自動車ディーラー向けの扱いに区分されています。「CARFAXを買えばNMVTISの内容も含まれる」とは考えないでください。
3つのサービスで何が確認でき、何が確認できないか
| 項目 | NMVTIS | CARFAX | AutoCheck |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 連邦法に基づく公的データベース | 民間の車両履歴レポート | 民間の車両履歴レポート |
| 運営 | 監督:司法省BJA/運営:AAMVA | CARFAX, Inc. | Experian Information Solutions, Inc. |
| 主な内容 | 現在のタイトル状態と最終タイトル日、ブランド履歴、オドメーター、全損履歴、サルベージ履歴 | 登録・タイトル・オドメーター・全損・盗難/回収・構造的損傷・事故の兆候・整備修理・用途・リコール | 事故、走行距離、所有者、タイトル、構造/フレーム損傷、オークション告知、リコール、AutoCheck Score |
| 公式に示されている限界 | 修理履歴・リコール・整備記録・詳細な所有者履歴は含まない | 報告されない情報があり、全車両の完全な履歴を保有するものではない | 含まれない情報の公式な列挙は確認できず |
| 対象 | 米国(州のタイトル機関等が報告) | 1981年以降の米国・カナダ市場向け乗用車・小型トラック。二輪・RVは対象外 | 対象地域の明示的な記述は確認できず |
AutoCheckに付くAutoCheck Scoreは、同じ年式・同じクラスの車両と比べて、その車が5年後も走っている可能性を予測する指標としてExperianが説明しています。スコアには比較の範囲が併記され、範囲との相対で読むものとされています。数字の大小だけで別の車と比べられる指標ではありません。
記録がないことを「問題がない」と読まない
これは公式に注意書きがあります。NMVTISの消費者向けページは、すべての州が報告しているわけではないため、検索結果が実態と異なる結果になりうることを明示しています。あわせて、購入の判断前に独立した車両検査を受けることを強く推奨しています。
CARFAXも、報告されない情報があること、全車両の完全な履歴を保有しているわけではないことを公式に述べ、購入前点検や試乗と併用するツールだと位置づけています。
レポートに記録がないことは、その出来事がなかったことの証明にはなりません。レポートは実車確認と書類確認を置き換えるものではなく、確認すべき点を絞り込むための材料です。
日本から取得するときに確認すること
日本から取得する経路は、大きく「提供元から直接購入する」「日本の事業者に取得を依頼する」の2つに分かれます。
| 経路 | 確認しておくこと |
|---|---|
| 提供元から直接購入 | 対象車両に該当するか。支払いとアカウント作成の条件。表示言語。紛争時の準拠法と管轄(CARFAXの利用規約では米国バージニア州法と同州の裁判所が指定されています) |
| 日本の事業者に依頼 | その事業者が何のレポートを取得するのか。手数料の内訳。対象車両の範囲。納期と受領形式 |
国土交通省の認可団体である外国自動車輸入協同組合(FAIA)は、走行履歴調査を提供しています。同組合の案内によれば、対象は北米で登録された車両に限られ、17桁のVINが必要で、1980年以前のモデルは対象外とされています。組合員以外や個人からの依頼も受け付ける旨が記載されています。料金は同ページに掲載されており、調査会社によって異なる旨の注記があります(2026年9月28日確認。金額は改定されることがあるため、依頼前に同ページでご確認ください)。
日本の事業者に支払う金額は取得代行の料金であり、レポート提供元が定める価格とは別のものです。本稿執筆時点の調査では、CARFAXとAutoCheckの消費者向け価格を公式サイト上で確認できませんでした。金額を比較する場合は、レポート本体の価格と代行手数料を分けて確認してください。
名前が似ているサービスを取り違えない
日本語で検索すると、提供元の公式サービスと、日本の事業者が運営するサービスが混ざって出てきます。
- autocheck.jp というドメインのサービスがありますが、本稿執筆時点の調査では、ExperianのAutoCheckとの関係を確認できませんでした。対象としている車両の範囲も異なる可能性があります。
- carfaxjapan.com のような日本語のサイトは、サイト自身が取得代行と名乗っている例がありますが、本稿執筆時点の調査では、CARFAX, Inc. の公式代理店であるかどうかを確認できませんでした。
利用する前に、運営者が誰で、何を取得してくれるのかを、その事業者自身の表示(特定商取引法に基づく表記など)で確認してください。
なお、本稿執筆時点の調査では、NMVTIS・CARFAX・AutoCheckのいずれについても日本語の公式ページを確認できませんでした。存在しないと断定するものではありませんが、日本語で書かれているというだけで公式情報だと判断しないほうが安全です。
日本の車両には使えるのか
これらのサービスは、米国で登録・流通した車両の記録を対象としています。CARFAXは対象を1981年以降の米国・カナダ市場向けの乗用車・小型トラックとしており、日本国内だけで使われてきた車両の履歴を引き出す用途には向きません。日本の車台番号と17桁VINの関係についてはVINとはと車台番号とは、車検証上の番号の種類については型式指定番号と類別区分番号とはをご覧ください。
逆に、日本から米国へ輸出した車両が現地で登録されれば、以後の記録は現地のデータベース側に蓄積されます。輸出の実務では、輸出前に日本側で整理した車両情報と、現地で参照される記録の両方を意識しておくと、相手方への説明がしやすくなります。米国への輸入条件は米国25年ルールとはで解説しています。
輸出・車両データ活用での考え方
日本車を米国などへ輸出する場合、買い手は現地のサービスと同じように、識別番号を起点に車両の素性を確認しようとします。年式・型式・グレード・走行距離などの情報を、車台番号やVINと正確にひもづけて提示できるかが、取引の信頼性を左右します。米国への輸入条件は米国25年ルールとはで解説しています。
JAPOXの瞬カーは、車台番号・VINを起点に車両情報と参考査定価格を確認できる法人向けサービスです。輸出事業者向けの活用例は中古車輸出業者向けソリューションで紹介しています。
※各サービスの内容・料金・提供範囲は変わることがあります。利用時は各社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
出典・参考
- U.S. Department of Justice:NMVTIS
- NMVTIS:Consumer Access
- S&P Global:Mobility Global Inc.の分離完了(2026年)
- CARFAX
- AutoCheck(Experian)
- NICB:VINCheck
- NHTSA:Recalls
- Cox Automotive:About(Kelley Blue Book・Autotrader)
- J.D. Power:NADA Used Car Guideの取得完了(2015年)
- Edmunds/Cars.com/CarGurus/CarMax
- NMVTIS:About NMVTIS(米国司法省 BJA)
- NMVTIS:承認データ提供事業者の一覧
- NMVTIS:レポートの読み方と含まれない情報
- AAMVA:NMVTIS(一般消費者向け)
- CARFAX:レポートに含まれる情報(公式サポート)
- CARFAX:対象となる車両の範囲(公式サポート)
- CARFAX:利用規約(準拠法・管轄)
- Experian:AutoCheck Score の考え方
- 外国自動車輸入協同組合(FAIA):走行履歴調査
よくある質問
CARFAXとAutoCheckの違いは何ですか?
無料で車の履歴を調べる方法はありますか?
NMVTISでは何がわかりますか?
日本の車台番号で米国のサービスを検索できますか?
無料・月1〜2回
瞬カー|Vehicle Data Professional Insights
中古車査定、VIN・車台番号、車両相場、買取・在庫管理、海外車両データなど、車両ビジネスの実務に役立つ情報をお届けします。
- ご登録後に確認メールをお送りします。メール内のボタンを押していただいた時点で配信を開始します。
- 配信はいつでも、メール下部のリンクから停止できます。
登録情報は、国内のデータセンターで運用されるセキュアなクラウドサービスで管理しています。取得した情報は個人情報保護方針に沿って取り扱います。