米国25年ルールとは?日本車を米国へ輸出する条件・必要書類・関税と州規制【2026年版】

米国25年ルールとは、製造から25年以上たった車両を、米国連邦自動車安全基準(FMVSS)への適合なしで輸入できるNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)の例外規定です。排ガスについてはEPAが別に「21年以上・オリジナル状態」の扱いを定めており、実際の輸入では安全・排ガス・通関・州登録の4つを分けて確認する必要があります。
日本の中古車、とくに1990年代の国内専用モデルが米国で取引される背景には、この「25年ルール」があります。この記事では、2026年9月時点の米国政府の公式情報をもとに、制度の仕組み、対象になる条件、必要書類、2025年以降の関税の変化、州ごとの注意点、日本側の輸出手続きまでを整理します。
結論:25年ルールで何が免除され、何が免除されないのか
| 確認する領域 | 所管 | 25年以上の車両の扱い |
|---|---|---|
| 安全基準(FMVSS) | NHTSA | 製造から25年以上なら、FMVSS適合を示さずに輸入できる(HS-7のBox 1で申告) |
| 排ガス基準 | EPA | 25年ルールとは別の基準。EPA様式3520-1のコードEは「21年以上」かつ「オリジナルの未改造状態」 |
| 通関・関税 | CBP | 免除されない。通常の輸入申告と関税(乗用車2.5%、トラック25%)が必要 |
| 州の登録・排ガス検査 | 各州 | 免除されない。登録条件や排ガス検査は州ごとに異なる |
「25年たてば何でも自由に輸入・登録できる」わけではありません。25年ルールが直接関係するのは連邦の安全基準だけで、排ガス・通関・州登録はそれぞれ別の手続きです。
25年ルールの定義と根拠
根拠は米国連邦法(49 U.S.C. 30112(b)(9))と、NHTSAの規則 49 CFR 591.5(i) です。規則では、車両が25年以上前のものであれば、FMVSSに適合していなくても輸入を認める旨が定められています。輸入時には、NHTSAの申告書であるHS-7の「Box 1」でこの例外を申告します。
「25年」はいつから数えるのか
NHTSAは、25年の期間は車両の製造日から起算すると説明しています。年式(モデルイヤー)や、日本の車検証にある「初度登録年月」ではありません。製造日を示すラベルが車両にない場合、NHTSAは新車時の販売記録や過去の登録書類など、製造時期を示す資料を保管しておくよう案内しています。
実務上は「年だけで判断しない」ことが重要です。たとえば1999年式でも、製造月によっては輸入予定日時点で25年に達していない場合があります。
25年未満の車両はどうなるのか
- Registered Importer(RI)経由:NHTSAに登録された輸入業者が、FMVSSに適合させる改修を行う方法です。保証金(ボンド)を差し入れ、原則120日以内に適合させる必要があります。
- Show or Display(展示・保存)例外:歴史的・技術的に特に重要な車両だけを対象とする例外で、年間走行距離は2,500マイルまでに制限されます。生産台数が500台を超える車種は一般に対象外です。
米国向けに販売されていない日本の国内専用モデルの多くは、どちらの方法も費用や条件の面で現実的ではなく、25年ルールが事実上の輸入ルートになっています。
排ガス(EPA):「21年以上」と「オリジナル状態」
排ガス規制を所管するEPAの輸入申告書(EPA Form 3520-1)では、コードEとして「少なくとも21年以上前の車両(輸入年から製造年を差し引いて計算)で、オリジナルの未改造状態のもの」が定められています。NHTSAの25年とは起算方法も年数も違う点に注意してください。
- EPAの年数は暦年の引き算で計算します(NHTSAの製造日起算とは異なる)。
- エンジンを載せ替えている場合は、元のエンジンと同一モデルであることが求められます。
- 排気系やエンジンの改造がある車両は、「オリジナル状態」の条件を満たさないおそれがあります。
通関(CBP)で必要な書類と関税
米国税関・国境警備局(CBP)は、自動車の輸入時に次の書類を求めています。
- 船荷証券(Bill of Lading)の原本
- 売買契約書・インボイス(Bill of Sale)
- 外国での登録書類(日本の場合は輸出抹消仮登録証明書など)
- NHTSAのHS-7(安全基準の申告)
- EPAのForm 3520-1(排ガスの申告)
通常の関税率は、CBPの案内で乗用車2.5%、トラック25%とされています。軽トラックなど貨物車に分類される車両は税率が大きく変わるため、分類を事前に確認してください。
2025年以降の追加関税と25年以上の車両
- 2025年3月の大統領布告(Proclamation 10908)により、輸入自動車に25%の追加関税(通商拡大法232条)が2025年4月3日から課されました。
- 日米合意の実施により、日本からの自動車は2025年9月16日以降の輸入分から、通常の関税を含めて15%の扱いになっています。
- CBPの232条FAQでは、中古の乗用車・トラックも232条関税の対象としつつ、輸入日の属する年から25年以上前の年に製造された車両は対象外と説明しています。
つまり、25年以上前の車両は232条の追加関税の対象外で、通常の関税率が基本になります。関税制度は短期間で変わることがあるため、輸入時点のCBP公式情報と通関業者の確認を必ず取ってください。
州ごとの規制:輸入できても登録できるとは限らない
連邦の輸入手続きを終えても、公道を走るには州での登録が必要です。登録条件・安全点検・排ガス検査は州ごとに異なり、以前は「USA各州の規制」として別に紹介していた論点もここに集約されます。
主な確認ポイント
- 登録とタイトル:州の自動車局(DMV等)で、CBPの通関書類やHS-7などの提出を求められます。
- 排ガス検査:州によって検査の有無や対象年式が違います。カリフォルニア州では、ガソリン車などはモデルイヤー1975年以前、ディーゼル車は1997年以前がスモッグチェックの免除対象です。州の基準を満たさない輸入車は、州の直接輸入(Direct Import)手続きが必要になります。
- 安全点検:米国には日本の車検のような全国一律の定期検査はなく、州ごとに点検制度が異なります。
- 軽トラック(ミニトラック):州によって公道登録を制限しています。たとえばペンシルベニア州は、2021年12月1日時点で登録済みのものを除き、公道での無制限登録を認めていません。一方、インディアナ州は排気量や最高速度などの条件付きで登録を認めています。州の扱いは近年変化しているため、輸出前に登録予定州の公式情報を確認してください。
日本側の輸出手続き
日本で登録されている車両を輸出するには、運輸支局での抹消手続きと、税関への輸出申告が必要です。東京税関は、輸出申告の際に「輸出抹消仮登録証明書」(一時抹消済みの車両は「輸出予定届出証明書」)を税関に提出して確認を受ける必要があると案内しています。これらの証明書は、輸出予定日の6か月前から交付を受けられます。
実務で起きやすいつまずき
- 製造日の証明:車検証の初度登録年月だけでは製造日を示せないことがあります。製造時期を示す資料をそろえておくと安全です。
- 車両識別番号の表記:日本の国内専用モデルは、17桁のVINではなく車台番号で管理されていることが多くあります。米国側の書類・インボイス・日本の抹消書類で、識別番号の表記を完全に一致させてください。VINと車台番号の違いはVINとは、車台番号とはで解説しています。
- 改造歴:排ガスの「オリジナル状態」条件や州の登録に影響します。改造部品の有無と内容を記録しておきましょう。
- 貨物車の分類:乗用車とトラックでは関税率が大きく異なります。
車両情報の整理と瞬カーの活用
輸出の現場では、年式・型式・グレード・走行距離などの車両情報を、車台番号やVINと正確にひもづけておくことが、書類の不一致や買い手への説明不足を防ぐ基本になります。JAPOXの瞬カーは、車台番号・VINを起点に車両情報や参考査定価格を確認できる法人向けサービスです。輸出事業者向けの使い方は中古車輸出業者向けソリューションや海外中古車流通支援で紹介しています。車台番号の形式をすぐ確かめたい場合は車台番号・VIN簡易チェックも使えます。
※本記事は2026年9月時点の公開情報を整理したもので、法的助言ではありません。実際の輸出入は、通関業者・米国の登録輸入業者・登録予定州の当局に最新の要件を確認のうえ進めてください。
出典・参考
- eCFR:49 CFR 591.5(輸入時の申告・25年以上の車両)
- NHTSA:Importation and Certification FAQs
- NHTSA:Importing a Vehicle
- EPA:Importing Vehicles and Engines
- EPA:Form 3520-1(2024年8月版)
- CBP:Importing a Car
- CBP:Section 232 Additional FAQs(Autos)
- Federal Register:Proclamation 10908(2025年4月3日)
- Federal Register:日米合意の関税関連措置の実施(2025年9月16日)
- California Bureau of Automotive Repair:Smog Check
- California DMV:Register an Imported Vehicle
- Pennsylvania DMV:Mini Trucks FAQs
- Indiana BMV:Mini Truck Registrations
- 東京税関:自動車を輸出する場合の手続き(輸出抹消仮登録証明書等)
よくある質問
25年ルールの「25年」は年式で数えますか?
25年たてばEPAの排ガス基準も免除されますか?
25年以上前の日本車に232条の追加関税はかかりますか?
軽トラックも米国で登録できますか?
日本側ではどんな書類が必要ですか?
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