2026年3月 中古車流通・輸出・オークション流動性レポート
データ確認ステータス:出典確認済み
Executive Summary
2026年3月の中古車市場は、「年度末の登録ピークを迎えた国内流通と、中東情勢により仕向地の構成が大きく変わった輸出が同時に進んだ月」でした。中古車登録台数は414,457台(前年同月比101.2%)で、2025年8月以降の月次で最も多い台数です。
輸出抹消登録台数は160,037台(同106.7%)でした。業界紙の報道によると、JUMVEA集計の輸出台数は152,147台(同2.4%減)で、ロシア向けが首位となる一方、UAE向けは大きく減少しました。
USSオートオークションは出品台数349,260台(同104.5%)、成約台数237,206台(同107.9%)、成約率67.9%(前年同月65.8%)、成約車両単価1,220千円(同109.3%)でした。ドル円月中平均は158.64円です。
主要KPI(2026年3月・中古車業界指標)
| 指標 | 2026年3月 |
|---|---|
| 中古車登録台数(登録ベース) | 414,457台 |
| 中古車登録 前年同月比 | 101.2% |
| 輸出抹消登録台数 | 160,037台 |
| 輸出抹消 前年同月比 | 106.7% |
| USS出品台数 | 349,260台 |
| USS成約台数 | 237,206台 |
| USS成約率 | 67.9% |
| USS成約車両単価 | 1,220千円 |
| ドル円 月中平均 | 158.64円 |
出典:JADA(中古車登録台数・抹消登録台数)、USS(オートオークション実績 速報)、日本銀行(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)。前年同月比は各資料の掲載値です。
月次インサイト
主論点:年度末需要と中東向け輸出の急変
3月のUSS成約車両単価は1,220千円で、2月(1,380千円)から11.6%低下しました(JAPOX計算値)。一方、前年も2025年2月の1,260千円から3月の1,116千円へ11.4%低下しており、2月から3月にかけての単価低下は2年続けて同程度の幅で起きています。
前月・前年同月との比較
| 指標 | 2025年3月 | 2026年2月 | 2026年3月 |
|---|---|---|---|
| 中古車登録台数(台) | 409,574 | 287,925 | 414,457 |
| 輸出抹消登録台数(台) | 149,922 | 134,544 | 160,037 |
| USS出品台数(台) | 334,368 | 294,698 | 349,260 |
| USS成約台数(台) | 219,907 | 205,104 | 237,206 |
| USS成約率 | 65.8% | 69.6% | 67.9% |
| USS成約車両単価(千円) | 1,116 | 1,380 | 1,220 |
| ドル円 月中平均(円) | 149.14 | 155.23 | 158.64 |
直近6か月の推移(2025年10月〜2026年3月)
| 月 | 中古車登録 前年同月比 | 輸出抹消 前年同月比 | USS成約率 | USS成約車両単価(千円) | ドル円(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年10月 | 99.3% | 111.1% | 68.8% | 1,305 | 151.32 |
| 2025年11月 | 91.3% | 104.1% | 68.1% | 1,297 | 155.08 |
| 2025年12月 | 102.9% | 105.3% | 66.0% | 1,252 | 155.85 |
| 2026年1月 | 98.9% | 97.2% | 69.6% | 1,346 | 156.79 |
| 2026年2月 | 98.7% | 144.2% | 69.6% | 1,380 | 155.23 |
| 2026年3月 | 101.2% | 106.7% | 67.9% | 1,220 | 158.64 |
前年同月比でみると、3月の単価は109.3%と前年を上回っており、単価水準そのものが崩れたわけではありません。
JAPOXの見方:年度末の3月は出品・成約の台数が大きく増える月であり、成約車両の構成(車種・年式・価格帯)が変わることで平均単価が下がりやすいと考えられます。前月比の単価低下を「相場下落」と読むのではなく、前年同月比と前年の同じ時期の動きを併せて確認することが重要です。
中古車登録・国内流通
2026年3月の中古車登録台数は414,457台で、前年同月比101.2%、前月比では43.9%増でした(前月比はJAPOX計算値)。内訳は乗用車362,323台(同100.4%)、貨物車41,908台(同107.5%)で、貨物車の伸びが目立ちます。
1〜3月の累計は952,659台(前年同期比99.8%)で、年度末需要を含めても国内流通量は前年並みの範囲にとどまりました。
中古車輸出・海外需要
輸出抹消登録台数は160,037台で、前年同月比106.7%でした。1〜3月の累計は471,199台(前年同期比110.9%)です。
業界紙の報道によると、JUMVEA集計の3月の中古車輸出台数は152,147台(前年同月比2.4%減)でした。仕向地別ではロシア向けが19,424台(同28.8%増)で首位、タンザニア向けが16,106台(同81.9%増)で続いたと報じられています。同紙は、ホルムズ海峡の閉鎖の影響でドバイ向けの車両が日本に戻され、滞留したとも伝えています。
日刊自動車新聞の報道によると、財務省の貿易統計(速報)で、3月の中東向け自動車輸出(新車・中古車の合計)は36,520台(前年同月比54.4%減)と、直近20年で最低の水準でした。中東情勢の緊迫化に伴う海上物流の混乱が背景とされています。
JAPOXの見方:3月は、輸出全体の量よりも仕向地の構成が急変したことが最大の特徴です。UAEは多くの車両の中継拠点としての役割を担ってきたため、その物流が滞ると、UAE向けに適した車種・年式の車両は他の仕向地を探す必要が生じます。同じ車種でも「どの国に出せるか」によって国内での相対的な価値が変わり得る局面です。
オークション流動性
USSの2026年3月の実績は、出品台数349,260台(前年同月比104.5%)、成約台数237,206台(同107.9%)、成約率67.9%(前年同月65.8%)、成約車両単価1,220千円(同109.3%)でした。成約率を再計算すると67.92%となり、公表値と一致します。
2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の累計は、出品台数3,504,437台(前年比109.4%)、成約台数2,347,566台(同109.4%)、成約率67.0%(前年67.0%)、成約車両単価1,255千円(同104.1%)でした。
開催回数・曜日要因
USSの資料によると、3月の開催回数は74回(前年同月78回)で、横浜会場、R名古屋会場の2会場で1開催増加した一方、HAA神戸会場、九州会場などの6会場で1開催減少しました。
曜日をそろえた比較(前年同期間:2025年3月2日〜4月1日)では、出品台数は前年比107.0%、成約台数は110.8%、成約率は67.9%(前年67.9%)、成約車両単価は109.6%です。曜日調整後の成約率は前年と同水準であり、公表ベースの成約率の上昇(65.8%→67.9%)には開催日程の違いが含まれていることが分かります。
平均車齢・残価傾向
平均車齢は月次指標ではなく、年次で更新される基準指標として扱います。本レポートの最終レビュー時点(2026年9月15日)で確認できる最新の公表値は、自動車検査登録情報協会(AIRIA)の令和7年3月末現在の数値です。
- 乗用車:平均車齢9.44年(前年比0.10年延伸)、平均使用年数13.35年(同0.03年延伸)
- 貨物車:平均車齢12.13年(前年比0.15年延伸)、平均使用年数16.29年(同0.21年延伸)
AIRIAは、高齢の自動車のスクラップや海外輸出が増えると平均車齢が若返る傾向があると説明しています。仕向地の構成が変わると、国内に残る車両の年式構成にも影響し得るため、輸出動向は車齢・残価の前提条件としても重要です。
EV / HV 評価要素
経済産業省の資料「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日)では、日本版バッテリーパスポートの構築支援と、蓄電池のリユース・リサイクルに向けた実証の方針が示され、パスポートの情報項目として電池IDやSoH等のパック状況情報が挙げられています。実証の例として「中古電気自動車の残価向上のための保証事業」も記載されています。
3月時点で、中古EV・HVの価格や流通量を月次で把握できる一次統計は確認できませんでした。
EV/HVの評価では、年式・走行距離に加えて、次の項目を評価項目として検討する必要があります。
- SOH(State of Health/電池健全度)
- 保証の残存期間・条件
- 診断証明と診断日
- 電池識別情報
- 充電履歴(急速充電の比率等)の取得可否
車両価値データAPI需要
API需要は単純な検索ボリュームではなく、法人業務への組み込み需要として捉えます。
3月のように仕向地の構成が急変する局面では、車両ごとに「どの国の条件に合うか」を素早く判定し直す必要があり、車両属性データを輸出条件と照合できる仕組みの価値が高まります。価値判断の基本構造は、「VIN/車台番号 → 車両属性の特定 → グレード・装備の特定 → 市況・残価の評価 → 輸出適性の評価 → 法人の意思決定」です。
| APIカテゴリ | 最低限必要な項目 | 法人ユースケース |
|---|---|---|
| 車両同定 | 車台番号/VIN、型式、年式、初度登録、原動機型式 | 入力作業の削減、誤査定防止 |
| グレード解決 | グレード、主要装備、駆動方式、燃料区分 | 価格差判定、比較表生成 |
| 使用状況 | 走行距離、登録履歴、抹消種別、使用地履歴 | 残価補正、輸出可否判定 |
| 市況評価 | 参考相場、オークションレンジ、成約率帯 | 買取価格、在庫評価、金融稟議 |
| 輸出評価 | 仕向地適性、右左ハンドル、需要強弱、書類要件 | 輸出選別、仕入れ判断 |
| EV/HV評価 | SOH、保証残、診断日、電池識別 | EV残価、保証商品化 |
| 監査性 | 取得日時、出典、更新区分、信頼度スコア | 内部統制、監査ログ、説明可能性 |
法人事業者への示唆
3月の市況から、法人事業者の実務には次のような示唆が考えられます。
- 査定・買取:UAE向けに流れていた車両の出口が変わる可能性があるため、輸出を前提にした買取価格は仕向地ごとに見直す必要があります。
- 在庫評価(中古車販売店):年度末の成約台数の増加と平均単価の低下は構成変化の影響を含むため、車種・グレード別に在庫の評価替えを行うことが有効です。
- 輸出適性判定(輸出事業者):ロシア、タンザニアなど他の仕向地への振り替えでは、排気量・年式・ハンドル位置などの条件を車両ごとに確認する必要があります。
- 金融審査・残価管理(金融機関・リース会社):輸出需要に支えられてきた車種は、仕向地の変化によって残価前提が変わり得ます。車種ごとの輸出依存度を把握することが重要です。
- EV電池評価(リース・保険・販売):経済産業省がバッテリーパスポートや中古EV残価向上の保証事業に言及しており、電池情報の標準化が進む可能性があります。
同一車種・同一年式でも、グレード、走行距離、修復歴、装備、車両状態、輸出適性、EV/HVの電池状態によって価値は異なります。そのため法人業務では、「車台番号/VIN+グレード+走行距離+市場データ+輸出適性+残価情報」を標準化して扱える仕組みが重要になります。JAPOXの瞬カー®は、車台番号またはVINを起点に車両情報・グレード・参考査定価格(参考値)などを取得・推定し、査定・買取・下取り・残価評価・輸出データ整備を支援する法人向けの車両価値データプラットフォームです。システム連携の概要は瞬カー® APIで紹介しています。
方法論・定義
- 中古車登録台数:日本自動車販売協会連合会(JADA)による、新規登録台数、所有権の移転登録台数、使用者名の変更登録台数の3業務を合算したナンバーベースの指標です。軽自動車は含みません。小売販売台数そのものではなく、本レポートでは国内中古車の流通量を見るための指標として扱います。
- 輸出抹消登録台数:JADAが公表する抹消登録のうち、輸出に係る抹消登録の台数です。JUMVEA集計や財務省の輸出統計とは定義・計上時点・対象範囲が異なります。前年同月比は前年の水準(ベース)の影響を受けるため、累計や前月との比較も併せて確認します。
- USSオートオークション:USSが公表する月次の速報値です。成約率は成約台数÷出品台数で、出品台数には再出品の車両も含まれます。開催回数や曜日の並びなど運営・日程の要因と、市場の需給を区別して解釈します。
- 為替:日本銀行の「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均」を使用します。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、車種、年式、仕向地の規制、海上運賃、現地の需要によって影響は異なり、円安であれば輸出が増えるとは限りません。
- 平均車齢・平均使用年数:AIRIAが毎年3月末を基準に公表する年次指標で、軽自動車を除きます。月次では変動させず、新しい公表があった時点で更新します。
- 中古車輸出台数(仕向地別):日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の集計を業界紙が報じた値で、本レポートでは二次資料として扱います。集計値は後日改訂される場合があります。
- 計算値の扱い:前月比、出品台数と成約台数の差などJAPOXが計算した値は、本文中で計算値であることを明記しています。
- 対象期間と公開日:対象年月(2026年3月)と、初版公開日・最終更新日・最終レビュー日は別に管理します。本レポートは2026年9月15日に一次資料との照合を行い、内容を全面的に改訂しました。
3つの主要ポイント
- 年度末の登録ピーク:中古車登録は414,457台(前年同月比101.2%)で2025年8月以降の最多。1〜3月累計は99.8%と前年並みでした。
- 仕向地の構成が急変:輸出抹消は106.7%。JUMVEA集計ではロシア向けが首位となり、ドバイ向けの車両が日本に滞留したと報じられています。
- 単価低下は季節的な構成変化の可能性:USS単価は前月比11.6%低下したが、前年も同時期に11.4%低下しており、前年同月比では109.3%でした。
よくある質問
このレポートの数値は確定値ですか?
中古車登録台数は販売台数ですか?
3月のUSS単価が前月から大きく下がったのは相場下落ですか?
UAE向けの輸出が減ると、国内の中古車相場にどう影響しますか?
瞬カー®とどう関係しますか?
出典・参考
- 日本自動車販売協会連合会(JADA)中古車統計データ(中古車登録台数・抹消登録台数 月報の掲載ページ)
- JADA 中古車登録台数・抹消登録台数(2026年1月〜8月版PDF)
- USS オートオークション実績(速報)月次データ(2026年3月度)
- USS IRライブラリ 過去の月次データ(2026年3月期)
- 日本銀行 主要時系列統計データ表 為替相場(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均車齢(令和7年3月末現在)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均使用年数(令和7年3月末現在)
- 経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日・資料3)
- Geotab EVバッテリー劣化調査(2026年1月13日公表・英語)
- グーネット自動車流通 中古車輸出台数(JUMVEA集計・2026年3月分の報道)
- carview!(日刊自動車新聞)2026年3月の中東向け自動車輸出 財務省発表
免責事項
本レポートの数値・指標は、記載の一次情報、公的統計、業界団体資料等に基づく参考情報であり、最終的な価格、相場、市場動向を保証するものではありません。中古車登録台数は登録ベースの指標であり、小売販売台数ではありません。参考査定価格、推定走行距離、残価等を掲載する場合、それらは参考値です。為替・輸出需要の影響は車種、年式、仕向地、物流条件等によって異なります。
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国内流通、輸出需要、オークション流動性、平均車齢の変化は、同じ年式・車種でも車両ごとの価値差を広げます。法人取引では、車台番号/VIN、グレード、走行距離、参考相場、輸出適性、残価などをデータで確認することが重要になります。
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