2026年2月 中古車流通・輸出・オークション流動性レポート
データ確認ステータス:出典確認済み
Executive Summary
2026年2月の中古車市場は、「輸出抹消登録が前年同月比144.2%と急伸した一方、その大部分は前年2月の低い水準(ベース)による見かけ上の伸びとみられる月」でした。中古車登録台数は287,925台(前年同月比98.7%)と前年並みです。
USSオートオークションは出品台数294,698台(同103.3%)、成約台数205,104台(同108.8%)、成約率69.6%(前年同月66.0%)、成約車両単価1,380千円(同109.5%)でした。成約車両単価は2025年8月以降の月次で最も高い水準です。ドル円月中平均は155.23円でした。
JAPOXでは2月を、前年同月比だけで判断すると輸出の強さを過大に評価しやすい月と位置付けています。
主要KPI(2026年2月・中古車業界指標)
| 指標 | 2026年2月 |
|---|---|
| 中古車登録台数(登録ベース) | 287,925台 |
| 中古車登録 前年同月比 | 98.7% |
| 輸出抹消登録台数 | 134,544台 |
| 輸出抹消 前年同月比 | 144.2% |
| USS出品台数 | 294,698台 |
| USS成約台数 | 205,104台 |
| USS成約率 | 69.6% |
| USS成約車両単価 | 1,380千円 |
| ドル円 月中平均 | 155.23円 |
出典:JADA(中古車登録台数・抹消登録台数)、USS(オートオークション実績 速報)、日本銀行(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)。前年同月比は各資料の掲載値です。
月次インサイト
主論点:輸出抹消急伸とベース要因
2月の輸出抹消登録台数は134,544台で、前年同月比144.2%でした。ただし、前年の2025年2月は93,291台と、2025年1月(181,686台)の約5割にとどまる低い水準でした(JAPOX計算値)。前年のベースが低かったことが、今月の高い伸び率の主因と考えられます。
前月・前年同月との比較
| 指標 | 2025年2月 | 2026年1月 | 2026年2月 |
|---|---|---|---|
| 中古車登録台数(台) | 291,573 | 250,277 | 287,925 |
| 輸出抹消登録台数(台) | 93,291 | 176,618 | 134,544 |
| USS出品台数(台) | 285,371 | 272,007 | 294,698 |
| USS成約台数(台) | 188,436 | 189,320 | 205,104 |
| USS成約率 | 66.0% | 69.6% | 69.6% |
| USS成約車両単価(千円) | 1,260 | 1,346 | 1,380 |
| ドル円 月中平均(円) | 152.03 | 156.79 | 155.23 |
直近6か月の推移(2025年9月〜2026年2月)
| 月 | 中古車登録 前年同月比 | 輸出抹消 前年同月比 | USS成約率 | USS成約車両単価(千円) | ドル円(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年9月 | 106.2% | 116.7% | 70.3% | 1,303 | 147.93 |
| 2025年10月 | 99.3% | 111.1% | 68.8% | 1,305 | 151.32 |
| 2025年11月 | 91.3% | 104.1% | 68.1% | 1,297 | 155.08 |
| 2025年12月 | 102.9% | 105.3% | 66.0% | 1,252 | 155.85 |
| 2026年1月 | 98.9% | 97.2% | 69.6% | 1,346 | 156.79 |
| 2026年2月 | 98.7% | 144.2% | 69.6% | 1,380 | 155.23 |
1〜2月の累計でみると、輸出抹消登録は311,162台(前年同期比113.2%)で、単月の144.2%より伸びは緩やかです。前月(176,618台)比では23.8%減でした(JAPOX計算値)。
JAPOXの見方:前年同月比が大きく振れた月は、累計値や前月比、前年のベース水準を併せて確認する必要があります。2月の輸出は「前年より増えている」ことは確認できますが、「急増している」と断定できるほどの根拠はありません。
中古車登録・国内流通
2026年2月の中古車登録台数は287,925台で、前年同月比98.7%、前月比では15.0%増でした(前月比はJAPOX計算値)。内訳は乗用車252,929台(同98.9%)、貨物車28,748台(同97.1%)です。1〜2月の累計は538,202台(前年同期比98.8%)でした。
年度末の3月を前に、国内流通量は前年並みの範囲で推移しています。
中古車輸出・海外需要
輸出抹消登録台数は134,544台(前年同月比144.2%)でした。前述のとおり、伸び率の大部分は前年2月のベースが低かったことによるものとみられます。
業界紙の報道によると、JUMVEA集計の2月の中古車輸出台数は144,372台(前年同月比5.5%増)でした。仕向地別ではタンザニア向けが18,023台(同116.9%増)で首位となったと報じられています。輸出統計でみた伸び率は5.5%増であり、輸出抹消登録の144.2%とは大きな差があります。
輸出抹消登録と輸出統計は定義・計上時点・対象範囲が異なるため、この差をそのまま需要の強弱として解釈することはできません。
(2026年9月レビュー時点の追記)2月末以降、中東情勢の緊迫化に伴い、3月にはUAE向けの中古車輸出が大きく減少したことが報じられています。詳細は2026年3月号で整理しています。
オークション流動性
USSの2026年2月の実績は、出品台数294,698台(前年同月比103.3%)、成約台数205,104台(同108.8%)、成約率69.6%(前年同月66.0%)、成約車両単価1,380千円(同109.5%)でした。成約率を再計算すると69.60%となり、公表値と一致します。
成約車両単価1,380千円は、2025年8月以降の月次で最も高い水準です。1月(1,346千円)に続き、年初の2か月は単価の高い状態が続きました。
開催回数・曜日要因
USSの資料によると、2月は全ての会場の開催数が前年同月と同じ回数(72回)でした。そのため曜日調整をした比較は公表されておらず、前年同月比は開催回数の影響を受けていない数値として読むことができます。
平均車齢・残価傾向
平均車齢は月次指標ではなく、年次で更新される基準指標として扱います。本レポートの最終レビュー時点(2026年9月15日)で確認できる最新の公表値は、自動車検査登録情報協会(AIRIA)の令和7年3月末現在の数値です。
- 乗用車:平均車齢9.44年(前年比0.10年延伸)、平均使用年数13.35年(同0.03年延伸)
- 貨物車:平均車齢12.13年(前年比0.15年延伸)、平均使用年数16.29年(同0.21年延伸)
車齢の長期化は、残価レンジの幅、修理・補修需要、輸出適性、車両状態評価の重要性を高める基礎条件です。年式が古い車両ほど、走行距離や修復歴、整備状況によって価値の差が大きくなりやすくなります。
EV / HV 評価要素
2月の公表統計では、中古EV・HVの価格や流通量を月次で把握できる一次データは確認できませんでした。評価の枠組みについては、次の調査・政策動向が参考になります。
テレマティクス企業Geotabが2026年1月13日に公表した調査では、22,700台超・21のメーカー/モデルのEVを分析し、電池の平均劣化率は年2.3%でした。100kW超の急速充電の利用が多い車両では最大で年3.0%程度、低出力充電が中心の車両では年1.5%程度とされています。
EV/HVの評価では、年式・走行距離に加えて、次の項目を評価項目として検討する必要があります。
- SOH(State of Health/電池健全度)
- 保証の残存期間・条件
- 診断証明と診断日
- 電池識別情報
- 充電履歴(急速充電の比率等)の取得可否
車両価値データAPI需要
API需要は単純な検索ボリュームではなく、法人業務への組み込み需要として捉えます。
2月のように前年同月比が大きく振れる局面では、統計の見かけの伸びに引きずられず、車両ごとの実際の輸出適性や相場を確認できるかが判断の質を左右します。価値判断の基本構造は、「VIN/車台番号 → 車両属性の特定 → グレード・装備の特定 → 市況・残価の評価 → 輸出適性の評価 → 法人の意思決定」です。
| APIカテゴリ | 最低限必要な項目 | 法人ユースケース |
|---|---|---|
| 車両同定 | 車台番号/VIN、型式、年式、初度登録、原動機型式 | 入力作業の削減、誤査定防止 |
| グレード解決 | グレード、主要装備、駆動方式、燃料区分 | 価格差判定、比較表生成 |
| 使用状況 | 走行距離、登録履歴、抹消種別、使用地履歴 | 残価補正、輸出可否判定 |
| 市況評価 | 参考相場、オークションレンジ、成約率帯 | 買取価格、在庫評価、金融稟議 |
| 輸出評価 | 仕向地適性、右左ハンドル、需要強弱、書類要件 | 輸出選別、仕入れ判断 |
| EV/HV評価 | SOH、保証残、診断日、電池識別 | EV残価、保証商品化 |
| 監査性 | 取得日時、出典、更新区分、信頼度スコア | 内部統制、監査ログ、説明可能性 |
法人事業者への示唆
2月の市況から、法人事業者の実務には次のような示唆が考えられます。
- 査定・買取:単価が高い水準にある一方、年度末に向けて出品が増える時期でもあります。相場の天井圏での仕入れには、車両ごとの売却見込みの確認が欠かせません。
- 在庫評価(中古車販売店):年度末需要に向けた在庫積み増しの判断では、平均単価ではなく、車種・グレードごとの成約状況を確認することが有効です。
- 輸出適性判定(輸出事業者):統計上の伸び率はベース要因の影響が大きく、実需の強さは仕向地ごとに異なります。タンザニア向けの増加が報じられるなど、仕向地の構成変化にも注意が必要です。
- 金融審査・残価管理(金融機関・リース会社):前年同月比の大きな振れを残価前提に取り込まないよう、累計や複数月の推移で確認することが重要です。
- EV電池評価(リース・保険・販売):電池の状態を示すデータの取得・記録は、将来の残価評価の前提になり得ます。
同一車種・同一年式でも、グレード、走行距離、修復歴、装備、車両状態、輸出適性、EV/HVの電池状態によって価値は異なります。そのため法人業務では、「車台番号/VIN+グレード+走行距離+市場データ+輸出適性+残価情報」を標準化して扱える仕組みが重要になります。JAPOXの瞬カー®は、車台番号またはVINを起点に車両情報・グレード・参考査定価格(参考値)などを取得・推定し、査定・買取・下取り・残価評価・輸出データ整備を支援する法人向けの車両価値データプラットフォームです。システム連携の概要は瞬カー® APIで紹介しています。
方法論・定義
- 中古車登録台数:日本自動車販売協会連合会(JADA)による、新規登録台数、所有権の移転登録台数、使用者名の変更登録台数の3業務を合算したナンバーベースの指標です。軽自動車は含みません。小売販売台数そのものではなく、本レポートでは国内中古車の流通量を見るための指標として扱います。
- 輸出抹消登録台数:JADAが公表する抹消登録のうち、輸出に係る抹消登録の台数です。JUMVEA集計や財務省の輸出統計とは定義・計上時点・対象範囲が異なります。前年同月比は前年の水準(ベース)の影響を受けるため、累計や前月との比較も併せて確認します。
- USSオートオークション:USSが公表する月次の速報値です。成約率は成約台数÷出品台数で、出品台数には再出品の車両も含まれます。開催回数や曜日の並びなど運営・日程の要因と、市場の需給を区別して解釈します。
- 為替:日本銀行の「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均」を使用します。為替は輸出採算を左右する要因の一つですが、車種、年式、仕向地の規制、海上運賃、現地の需要によって影響は異なり、円安であれば輸出が増えるとは限りません。
- 平均車齢・平均使用年数:AIRIAが毎年3月末を基準に公表する年次指標で、軽自動車を除きます。月次では変動させず、新しい公表があった時点で更新します。
- 中古車輸出台数(仕向地別):日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の集計を業界紙が報じた値で、本レポートでは二次資料として扱います。集計値は後日改訂される場合があります。
- 計算値の扱い:前月比、出品台数と成約台数の差などJAPOXが計算した値は、本文中で計算値であることを明記しています。
- 対象期間と公開日:対象年月(2026年2月)と、初版公開日・最終更新日・最終レビュー日は別に管理します。本レポートは2026年9月15日に一次資料との照合を行い、内容を全面的に改訂しました。
3つの主要ポイント
- 輸出抹消の急伸はベース要因が大きい:前年同月比144.2%だが、前年2月は93,291台と低水準で、1〜2月累計では113.2%にとどまります。
- オークション単価は高水準:USS成約車両単価は1,380千円(前年同月比109.5%)で2025年8月以降の最高、成約率は69.6%(前年同月66.0%)でした。
- 伸び率だけで判断しない:前年同月比が大きく振れる月は、累計・前月比・車両単位の実態で確認することが重要です。
よくある質問
このレポートの数値は確定値ですか?
中古車登録台数は販売台数ですか?
輸出抹消が前年同月比144.2%になったのは、輸出需要が急増したからですか?
2月は開催回数の影響を受けていますか?
瞬カー®とどう関係しますか?
出典・参考
- 日本自動車販売協会連合会(JADA)中古車統計データ(中古車登録台数・抹消登録台数 月報の掲載ページ)
- JADA 中古車登録台数・抹消登録台数(2026年1月〜8月版PDF)
- USS オートオークション実績(速報)月次データ(2026年2月度)
- USS IRライブラリ 過去の月次データ(2026年3月期)
- 日本銀行 主要時系列統計データ表 為替相場(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均車齢(令和7年3月末現在)
- 自動車検査登録情報協会(AIRIA)平均使用年数(令和7年3月末現在)
- 経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2026年3月5日・資料3)
- Geotab EVバッテリー劣化調査(2026年1月13日公表・英語)
- グーネット自動車流通 中古車輸出台数(JUMVEA集計・2026年2月分の報道)
免責事項
本レポートの数値・指標は、記載の一次情報、公的統計、業界団体資料等に基づく参考情報であり、最終的な価格、相場、市場動向を保証するものではありません。中古車登録台数は登録ベースの指標であり、小売販売台数ではありません。参考査定価格、推定走行距離、残価等を掲載する場合、それらは参考値です。為替・輸出需要の影響は車種、年式、仕向地、物流条件等によって異なります。
市場変化を車両価値データで確認する
国内流通、輸出需要、オークション流動性、平均車齢の変化は、同じ年式・車種でも車両ごとの価値差を広げます。法人取引では、車台番号/VIN、グレード、走行距離、参考相場、輸出適性、残価などをデータで確認することが重要になります。
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